マンガ 作品紹介

今までで一番衝撃を受けたマンガ!日本が誇るダークファンタジー「ベルセルク」狂っているのは誰なのか?

ずいぶん昔、付き合っていた相手が好きで貸してもらったのがキッカケだったんですが・・・。ともかく衝撃でした。高校生にはキャパオーバー。かと言って中年になった今ならこの衝撃に耐えられるかと言ったら・・。いまだに初めて読んだ時の強烈なインパクトは忘れられません。 
内容的にも、そのキッカケがなければ手を出さなかったと思うのでとにかく出会えたことに感謝です。物凄い後味の悪さを与えてくれますが、作品としては本当に素晴らしい作品なので。読むのに体力がいりますが、傑作とはそういうものだと思うのです。 ザリザリしてて、のど元にひっかかって飲み込んだ後もいつまでも余韻が残る。そこまで人にインパクトを与えられるものは、色々と配慮が必要となった最近ではなかなかお目にかかれません。
登場する魔物の異形さ、残酷な戦闘シーン。確かにそういった部分でのインパクトも大きいのですが、目を引く過激さやグロテスクさだけではなく、人間の持つ根源的な哀しみ。ファンタジーの中においてさらに過激な描写をこれでもかと用いながら、その部分を突き付けてくるところがこの作品を後世に残る傑作にしていると思うのです。

ダークファンタジーの金字塔!まるで絵画のような描きこみと重厚なストーリー、剣と魔法が織りなす最高峰の物語「ベルセルク」

こちらのマンガ、連載自体が不定期連載という事もあり、そこに休載などが加わり刊行ペースが遅く、私も長らく新刊が出ない為に一時追うのを忘れていた時もあります。が、ここ最近は年に1冊ペースで出ていて以前のように忘れてしまう・・何て事はありません!!
最新刊は40巻、2018年9月に刊行されています。今年2020年に41巻が発売されるのでは・・と予想されていましたが、休載の為今だ発売は未定です。
なのでワンピースのように今更追いつけない・・という事はないでしょう。是非じっくり読み始めて頂きたいものです。

あらすじ

夜の闇が深く人ならざる者たちが跋扈する世界。その魔物達から黒い剣士と呼ばれ恐れられている剣士、ガッツ。たった一人で満身創痍になりながら戦う彼には、決して逃れられぬ運命が刻まれていた・・。

これ以上のあらすじ、ほんと簡潔に書けないぐらいドロドロドロしてるんですよ。とにかく読んでもらうしかありません。作者さんの物凄い熱量とこだわりあふれる精緻に書き込まれた絵と怒涛の展開にあっという間に引き込まれてしまうので、読み出したら途中で止められません!!


物語の始まりはプロローグとして、背丈ほどもある大剣を振るう「黒い剣士」と恐れられるガッツ妖精パックとの出会いが描かれます。ガッツを恐れず興味を持ったパックは彼と行動を共にするが、行く先々で恐ろしい敵に出会いその度にガッツはいつ死んでもおかしくないぐらいボロボロに。
なぜ、ここまでして戦うのか。パックと読者のその疑問に答えるべく、話はガッツの過去へと遡ります。


そして作中で最も面白い!!との声が多い、ガッツの青春時代を描く「黄金時代編」へ。ガッツの幼少期から少年期、そして良くも悪くもガッツの運命を動かす宿命の相手、グリフィスとの出会い。グリフィスとはガッツが生涯をかけ追い求める相手なのですが、この二人と二人を取り巻く仲間達とのエピソードが最高なんです!今まで人のあたたかさに触れてこなかったガッツが、初めて心許せる仲間達に出会い、そして初のライバルといえるグリフィスとの競り合いと友情・・まさに青春!!そしてなんとキャスカとの淡い恋まで!ずっとこの流れで読んでいたい・・と心底思ったところにですよ。上げたところからの下げ、それは分かる。しかし下げどころか地獄の底もぶち抜いとるがな、ぐらいの胸糞展開。こんな魅力的なキャラクター達にホントよくも・・・。という仕打ち。初めて読んだ時、まだうら若き少女だった私は夜眠れなくなりました。怖すぎて・・。
正直、時折この地獄絵図を思い出すもなかなか読み返す勇気がありません。しかし・・前半があまりに素晴らしすぎるから・・読みたくなっちゃうんですよね‥。恐ろしいセットです。青春の美しさとなんかいきなり唐突に始まる地獄絵図。あの4人の天使の造形がまた・・ね・・。悪夢見ちゃうよね。 

そしてガッツとグリフィスの因縁が読者にも明らかになり、ガッツの死をも恐れぬ執念の理由が分かるのです。そしてまたガッツの血みどろの旅が続き・・。呪いと消え去る事のない怒りを背負ったガッツのグリフィスを追う戦いは、こちらから見たら悲しいぐらい絶望的です。
この話のクライマックスはガッツとグリフィスとの戦いなのは火を見るより明らかなのですが、どうみてもガッツが勝てそうになくて・・。なんならグリフィス以外のラスボス的な天使達にさえ歯が立ちそうにありません。
一体この話をどうやって終わらせるんだろうか!?と読む度に不安で不安で。唯一の希望と言えば、長く孤独な戦いを続けていたガッツにパックを初めとしてだんだんと仲間が集まってきた事です。妖精のパックや魔法使いなど見た目も愛らしい仲間が加わり絵面的にもだいぶ和ませてくれます。この和みはガッツにも読者にも絶対必要!!

書き込みがもの凄いこのマンガ、作者がクオリティーの高さにこだわるあまり刊行スペースが大変遅く、連載は30年以上も続いているのですが今だ終わりそうな気配がなく、読者の‟自分が死ぬまでに終わらなそうなマンガ‘‘のベスト3に堂々ランクインするほど完結が危ぶまれています。
私はガッツに勝ち目がなさすぎて絶望を感じてたんですが、確かに・・この心配も大ですね!!でもこのマンガの書き込みを見たらそんなにサクサク進むマンガではないのは丸わかり。ファン達からの「どうか描き込みはほどほどに・・」という願いも空しく最新刊を見ても圧倒のクオリティ。こんなに描いて、身体だけでなく精神的にも大丈夫か?と余計な心配をしてしまいます。
実際、三浦先生ご本人も先行きへの危惧を発言されているという危うさ。先生、どうか山程いるファンの為に頑張って下さい!!

因果律というなんだかもの凄い言葉をこのマンガで知りました。どうしたらこんなストーリーが思いつくのか、三浦先生の頭の中をのぞいてみたいものです。
このマンガはガッツのグリフィスへの壮絶な復讐劇なのですが、そのグロテスクさだけでなく、とてつもない哀しみを感じるんです。グリフィスへの激しい復讐心で突き動かされている様に見えるガッツですが、本当はグリフィスを救いたいのでは?と私は勝手に思っています。
あの時、グリフィスの手を離した事。その事への消える事の無い後悔が、体に刻まれた呪いと共にさらに彼の首を絞めている様に見えるのは私だけでしょうか?
どうか、最後にはガッツとキャスカに救いがありますように。そう願わずにはいられません。


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