最近、異世界転生モノのマンガが大流行りですが、これなんか正にその元祖ではないでしょうか。
こちら、タイムトリップ物の王道です。全28巻と長さも程よく舞台となった年代と場所も壮大でエキゾチック!ひとつの国が素晴らしい王を得て勢力を拡大していく話ですが、ここに現代から紀元前に飛ばされた少女が絡んでくる、と。
少女マンガの定番である王子様との恋に妖しい魔術、それに古代の戦争と醜い王家の跡継ぎ争い・・と色んな要素がたっぷり詰まって盛り沢山です!
「天は赤い河のほとり」篠原千絵 全28巻
あらすじ
高校入学を控えた夕梨(ゆうり)はある日突然、魔術により古代の世界に無理やり連れてこられてしまう。
見知らぬ国、初めて聞く言語。現代だとトルコに位置する紀元前14世紀のヒッタイト帝国の後継者争いに巻き込まれその命を狙われる。
現代、家族の元に帰りたいと願う夕梨を助けるのはヒッタイトの皇子、カイル。
夕梨は果たして無事に帰れるのか、その願いと裏腹に彼女を巡って戦乱と欲望渦巻く宮中の争いは激化していく。
衣装なんかもオリエンタルで素敵!古代のトルコという舞台が良いですねえ~。カイルはとことん男前で、まさしく正統派王子さま!!
ヒロインのユーリはこの世界にやってくるまでは普通の女子中学生だったのですが、命を狙われてもただ王子サマに守られているか弱い女の子ではなく、どんどん活路を自分で切り開いていきます。
そして戦神とあがめられるようになり、カイルもそんなユーリに惹かれていくのです。しかしユーリの望みは元の世界に帰る事。なのでお互いに惹かれつつもその気持ちを押し隠し・・。王子様であるカイルが、ユーリの事を思って強引に自分のものにしないなんて!!こんな王子様と庶民のヒロインという設定では珍しい清く自制心あふれる立派な王子様です。
戦争や国の歴史などは史実にのっとっているのでさらに物語に深みが感じられてグイグイ読み進めちゃいます。ユーリが現代の知識を生かしてピンチを切り抜ける様も爽快。
初めからその命を生贄に捧げる為に呼ばれたユーリ。なので容赦なくその命を狙われますが、ユーリの魅力にほだされた周囲の人物も命を懸けて共に戦いユーリを守ろうとする様にも心動かされます。
たくさん魅力的なキャラが登場しますが私のお気に入りはカイルの弟であるザナンザ皇子。これまた美形でしかも情熱的、イイ男すぎる。
なんといけないと知りつつユーリに恋してしまうのです!!この切ない恋はザナンザの魅力を存分に引き出してしまうのです・・。
私はこのマンガを読むまでこの時代やこの国の事などほとんど知りませんでしたが、広大な地域のややこしい国と国の関係などもとても分かりやすく、私みたいに何も知識がなくとも興味深く読めました。
作者さんがこの世界観に憧れたように、私もトルコに行ってみたくなりましたよ・・。古代の歴史はロマンがあってくわしく知りたくなりますね。
壮大な歴史ロマンに現代からのトリップというスパイスを効かせたこの物語。28巻、あっという間に読み切ってしまいました!
美しい絵柄にゆったりとしたセクシーで豪華な衣装。完璧すぎる王子サマのカイル。女子にはたまりません!!腰を据えて読むのにおススメ!!